正しい知識を身につけ、ヒートショックにならない体づくりを!

 

 

今回のテーマは「ヒートショック」です。

新潟南病院 内科・リハビリテーション科の小幡小幡裕明先生にスタジオにお越しいただきました。

 

Q,小幡先生は内科・リハビリテーション科ということですが、ご専門は何をされているのですが?

 

はい、私は循環器内科と言って、心臓や血管の病気の方を診ております。

その中でも特に運動療法や発症予防の取り組みを行う心臓リハビリを専門にしています。

 

 

Q,心臓や血液循環と言うと、今回のテーマ、ヒートショックにも直接関係しそうですね。

  名前や危険だということは聞いたことある方が多いと思うのですが、

  改めてヒートショックとはどのようなものなのか教えていただいて宜しいでしょうか。

 

そうですね、ヒートショックは簡単にと言うと、

環境の温度差によって、体に急激な変化が生じる病態です。

主には血圧が変化して起きてくることが多いと思います。

 

 

Q,温度差に伴う血圧の変化ということですが、血圧がグッと変化することで、

  どうして倒れてしまったり、命に関わったり、ということになるんでしょうか?

 

そうですね、一般的に寒い環境におかれると、血管は収縮し、血圧が高くなります。

逆に暖かくなると血管は弛緩して、血圧は下がります。

これは主に自律神経の働きなのですが、この体に与える温度変化が大きく急激に起こると、

血圧の変化もこれに伴い、急激にしかも大きく変化がおこることがあります。

その変化に体がついてこれなくて、色々な事象が起きてしまう、

というのが一般的に知られているメカニズムではないでしょうか。

 

 

Q,なるほど。私は特に入浴の時に起こるというイメージがありますが。

 

そうですね。「のぼせ」に近い軽度なものから、失神をおこして、その時に怪我をしたりすることもありますが、怖いのは、動脈硬化が既にある方や臓器に老化や障害のある方です。

血圧の変化に順応できなかったり、血管が詰まってしまったり、出血したりして、

脳卒中・心筋梗塞になる恐れがあります。

また心臓に負担がかかってしまったことに耐えかねて、心不全などを発症してしまうと命に関わることがあります。

 

 

Q,実は私「入浴検定」というの持っていまして、お風呂の良い入り方、効能というものを色々勉強しました。

半面、お風呂は事故も多い場所ということも認識しています。

先程、臓器が健康ではない方の危険性を教えていただきましたが、やはり年配の方が多いのでしょうか?

 

そうですね。日本人のデータでもやはり80%以上が高齢者で、入浴の際の事故が多いと言われています。

 

 

Q,国内で1年間に亡くなる方はどれくらいいらっしゃるのでしょうか?

 

はい。実は結構多く、年間の死亡者数は17,000人から19,000人で、

交通事故で年間亡くなる方の4倍くらいと言われています。

 

 

Q,そんなにいるのですか!? ヒートショックと言えば、新潟も含めて、雪国・寒いところで多いのかなという印象の方が多いと思うのですが、やはりそうなのでしょうか?

 

私も調べてみて初めて知ったのですが、実はそうとも言えないのです。

もちろん温度変化が引き金だと申し上げた通り、気温の低いところで注意が必要なのは当然なのですが、

東京都健康長寿医療センターという機関が2014年に行った調査データを見ると、

入浴中の事故が多いワースト3の都道府県は、香川県・兵庫県・滋賀県なのです。

 

 

Q,香川・兵庫・滋賀ですが?比較的暖かい印象があるのですが、どうしてでしょう?

 

この調査では原因までは触れられていませんでした。

ただ、北欧と南欧、アメリカの北部と南部、それぞれを環境の変化と死亡率の変化を見たというデータもあるのですが、やはり北より南の方が、死亡率が高いという結果もでているようです。

その際の分析では、北の方に住んでいる人の方が、南に比べ、家の中の温度設定が高いという要因があったようです。

外気温の変化も大切ですが、室温を適切に調整できているかどうかというのが、発症に大きく関わっている結果となりました。

 

 

Q,リビングとお風呂場の温度の差などが大きく関わっているので、

  単純に寒い北海道や東北、北陸、新潟などの地方が多いということでもないのですね。

  ということは、時期的にも真冬が最も危険性が高い時期だと思っていたのですが、

  そうでもないのでしょうか?

 

新潟県や全国のデータをみた限り、やはり寒い時期の発症や死亡する方が最も多いですが、

寒さが残る春の一歩手前の今のような時期でも、やはり注意は必要です。

ヒートショックによる病院搬送や死亡件数の統計を見ると10月から11月の寒くなり始めの頃から増え始め、4・5月くらいまで多くなっています。

 

着ているものや冷暖房器具の使用などが切り替わる時期も、部屋と部屋の間の寒暖差が生じやすくなるので、注意してください。

 

 

Q,では、具体的に予防するためにはどんなことを心がければよいのか教えてください。

 

やはり移動する部屋と部屋との温度差を縮める、ということが一番大事だと思います。

どこで起きやすいか、ということを考えて環境調節を行う必要がありますね。

一般的には温温度差を10℃以下にすると良い、という指導がされていますが、やはりお風呂やトイレが、裸になったり薄着になったりしますので、一番危険が高い場所であると考えます。

 

 

Q,部屋と部屋との温度差を10℃以下にする、これを一つの目安として覚えておくといいですね。

  やはり入浴時には注意が必要なのですね。

 

はい。可能な方は脱衣場や浴室を暖房で暖かくしてもらうということが大事ですが、暖房がない場合は、例えば浴室を開けて、シャワーから浴槽にお湯を張ったり、浴槽のフタを開けておくという工夫は大切です。

蒸気で浴室全体を温めておく感じですね。

 

また湯舟の中のお湯の温度を高く設定しすぎないことも大切です。

高い設定は、温度差を作ってしまう要因のひとつにもなります。

一般的には41℃以下の設定が奨められているようです。

 

 

Q,他にも入浴の際に意識することはありますか。

 

はい、高齢の方で発生が多いという話をいたしましたが、高齢の方は入浴される際に家族に一声掛けて入られると良いと思います。

また入浴の時間も、冷え込まない時間にするというのも手ですね。

 

生理機能といって、一般的に私たちが体の調節をするピークというのは午後2時から4時と言われています。

そこを境に機能が少し緩やかに低下していますので、特に高齢の方は、食前に入浴できるのであれば、それが良いと思います。

 

あとは飲酒ですね。やはりお酒を飲むと血管が広がるので、血圧が下がります。

ヒートショックにプラスアルファの話しになりますが、注意が必要だと思います。

 

 

Q,お酒を飲んだら入らない、というのはよく聞きますね。

 

しっかり時間をおく、量もほどほどに、というのが大切です。

お風呂から上がった後に飲むのもお勧めはできないですね。

 

お風呂はお水の中に入ってますが、脱水になります。

汗をかきますので、いわゆるドロドロ血と言われるように、血管が詰まりやすくなってしまうなど、心臓への負担も大きくなります。

コップ1杯の水を飲むなどし、入浴の前後で水分を摂っていただきたいですね。

 

 

Q,入浴以外でも気をつけることありますか。

 

はい、ヒートショックはその温度差で血圧の調整がおかしくなりますので、

血圧の調整能力が低下している病態や動脈硬化が起こりやすい病気を持っている方は、

自分はヒートショックが起こりやすいのだと、自覚を持つことが肝要だと思います。

 

具体的には高血圧や糖尿病、動脈硬化性の疾患や、肥満、不整脈がある方。

あと病気ではないのですが、喫煙習慣があったり、運動不足、塩分過多の方も血圧が上がりやすかったり、動脈硬化がすでに多少起こっていることが懸念されますので、そういう生活習慣を改善するという努力が予防になると思います。

 

食事や運動などを意識し、生活習慣病予防を行うことで、

ヒートショックになりやすい体にならない、ということが大事だと思います。

 

 

Q,なるほど。ヒートショックに関しても、突発のものだと思わず、普段の健康を意識した生活習慣がダイジということですね。

  では最後にリスナーに向けてメッセージをお願いいたします。

 

ヒートショック現象は、正しく理解をしていればある程度予防が可能な病態です。

怖い病気を引き起こす現象ではあるものの、きちんと対処すればちゃんと予防ができるものですので、正しい知識を身につけて、普段から予防に努めるということが大事だと思います。

 

(2020年2月24日・3月2日)