早めの検診と生活習慣の改善で合併症を防ぎましょう!

 

11月が糖尿病月間、そして11月14日は「世界糖尿病デー」です。

新潟でも、新潟市中央区の「NEXT21」がブルーにライトアップされるなど、

様々な啓発活動が行われています。

今回は、糖尿病の研究をされて10年以上という

新潟大学大学院 医歯学総合研究科内分泌代謝内科の岩永みどり先生にお越しいただきました。

 

 

Q,そもそも「糖尿病」という病名、これはもう皆さんよく聞いたことがあると思うのですが、

具体的にどのような症状が出る病気なのかを教えてください。

 

はい。糖尿病とは血液中の血糖値が慢性的に高くなる病気です。

尿も血液から作られますが、尿中に糖が出るので糖尿病と名前がつきました。

 

 

Q,糖尿病の中でもいくつか種類があるようですね。

そうですね、1型糖尿病、2型糖尿病、その他の糖尿病、妊娠糖尿病と

大きく四つに分類されるのですが、

一番患者さんが多いのは2型糖尿病ということになります。

 

厚生労働省が行っている「国民健康栄養調査」によると、

2016年の統計で糖尿病患者数は初めて1,000万人を超え、

さらに予備軍を含めると2,000万人と推定されています。

簡単に言いますと成人の4人に1人は糖尿病または予備軍と考えられる状態です

 

 

Q,4人に1人ですか!多いですね。

  具体的に血糖値が高くなるとどのような不具合が出てくるのですか?

 

血糖値が正常の2~3倍以上の重症の状態になると、

喉の渇き、多尿、だるさ、体重減少などの症状がでます。

ただ境界型糖尿病の状態や糖尿病の初期の状態ではほぼ無症状なのです。

 

 

Q,自覚症状がない、というのは怖いですね。

 

慢性的な高血糖は、じわじわと身体の様々な場所、特に血管に動脈硬化という悪影響を及ぼしていき、

命に関わるような合併症を起こす原因となります。

 

 

Q,合併症が怖い、というのはよく聴きますね。具体的にはどのようなものがあるのでしょうか?

神経障害、目の網膜症、腎機能障害がよく三大合併症と言われます。・

神経、目、腎臓、ということで、「しめじ」と覚えてください。

 

 

Q,なるほど「しめじ」ですか。

  では具体的に、「し」神経障害というのはどのようなものがありますか?

 

色々ありますが、簡単には手先や足先のしびれ、感覚低下などから生じることが多いですね。

 

 

Q,「め」の網膜症はどうでしょうか。

 

網膜症も軽症から重症まで様々な分類があるのですが、網膜症がもし始まっていたとしても軽症の状態だと無症状なので気づきづらく、見逃されやすいです合併症です。

 

 

Q,3つ目は「じ」の腎臓ですね。

腎臓の合併症は、末期状態になりますと血液透析の治療が必要になる人が多いというイメージがありますが、こちらも初期の段階では、検尿で尿蛋白が出るという軽い所見しかありませんので、見逃されやすいということになります。

 

 

Q,聞けば聞くほど怖いですが、これ以外にもまだまだ関係してくるそうですね。

 

そうですね。あとは大きな血管に動脈硬化が起こりますと、

心臓病、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞の合併症も起こりやすくなります。

他には足壊疽(えそ)や、免疫力が低下すること、がん、認知症、歯周病など、

全身のあらゆる臓器に影響を及ぼします.。

 

Q,がんや認知症まで影響するのですか。

  そして、歯周病…というのは口の歯ぐき などの病気にも関係してくるのですか?

はい。歯周病とは簡単に言いますと、歯ぐきの細菌感染により生じる感染症ですので、

糖尿病患者さんの免疫力低下や口腔ケア不足などにより生じます。

逆に歯周病を治療すると血糖値が改善するという効果も期待できるんですよ。

 

 

Q,糖尿病が非常に怖い病気だということが分かりました。

  糖尿病になってしまう方の原因はどのようなものがありますか?

はい、凡そ95%は2型糖尿病の方ですが、肥満や運動不足などの生活習慣の乱れや遺伝的な要因により発症します。

メタボ健診を受けたことがある方も多いと思いますが、

メタボリック症候群を背景に、若い世代から糖尿病が疑われる方も増えています。

 

 

Q,若い方も増えているのですか。

 

はい、大体40歳代からの患者さんが増えてきていますね。

新潟は車で移動する方も多いですし運動不足になりがちで、

気をつけていないと食事も多くなりやすいですよね。

特に注意が必要なのは家系に糖尿病の人がいる場合です。

家系に糖尿病の方がいますと、遺伝的にインスリン分泌が低下しやすいので、

肥満がなくても糖尿病発症することがあります。

 

 

Q,誰でも成り得る、特に家系に糖尿病の方がいらっしゃる方は、さらに要注意、ということですね。

  では、糖尿病にならないためには、どのようなことに気を付ければ良いでしょうか?

 

はい。予防で大切なのは、食事と運動です。

 

食事に関しては

・ご飯やパンの適切な主食量の目安を知ること

・腹八分目を心がけて、バランスの良い食事にすること

が大切です。

油断をしていると油ものがどうしても多くなってしまいがちで、野菜も足りなくなりがちです。

また

・朝ごはんは食べるのがオススメ

・お酒は控えめに、適量を守るのが大事です

 

 

Q,朝ご飯をちゃんと食べることは大事とよく聞きますが、糖尿病予防の点でも重要なのですか?

 

はい、朝ご飯を食べない方は肥満になりやすいというデータも出ています。

また糖尿病の方や境界型の方が朝ご飯を食べないと、

昼食後の血糖値が著しく上昇すると言われていますので、良い血糖コントロールを目指すためにも

朝ごはんを食べる習慣というのがやっぱりおすすめなのです。

 

 

Q,なるほど。他に気を付けることはありますか。

 

はい、外食でも気を付けていただきたいですね。

糖尿病や予備軍の方は特に、丼ものやラーメンなどはなるべく控えることも大切です。

和食の定食などがバランスも取れていてオススメです。

ただ、丼物やラーメンでも、もちろん絶対ダメということではありません。

そこに野菜をつける、スープは全部飲まない、などを心掛けていただければと思います。

また、麺と丼などと主食系を二つ重ねるセットは、あまりオススメできません。

 

 

Q,う~む、耳が痛いですね。。。あとは運動も大事なのですね。

 

はい、運動を定期的に行って筋肉をつけておく、というのは大切です。

糖尿病のコントロールと、筋肉量は深い関係があります。

インスリンが働いて、血液中のブドウ糖=血糖をしまい込む先が筋肉なのです。

したがって、筋肉量がある方は、それだけ血糖をしまい込む先があるため、

血糖値が下がりやすいということになります。

 

 

Q,なるほど。たくさん収容できるので、血液の中の糖が少なくて済むわけですね。

  そして、やはり検診が大切なのですね。

 

定期的に検診を受けていただくことで、糖尿病の早期発見が可能になります。

先程お話しした通り、糖尿病は初期の症状がほとんどありませんが、

健康診断を受けていただいて境界型もしくは糖尿病と分かれば、

病院で医師から適切な治療方法やアドバイスを受けることができます。

検診を全く受けておらず、失明直前で病院に受診して治療開始するというような患者さんも見られます。

検診で指摘されても、その後適切な治療で血糖値をコントロールすれば

合併症を防ぐことができるのです。

 

 

Q,早めで、定期的な検診が大切なのですね。ちなみに糖尿病は完治しない病気と聞いたのですが。

 

糖尿病は治らない病気、と言ってしまうとショックが大きいかも知れませんが、

やはり一度診断されると、その後ずっと向き合っていかなければならない病気だと思います。

ただ早めに発見して、お薬や生活習慣を改善することによって、健康寿命伸ばすことが可能です。

 

 

Q,そのために、新潟大学病院では様々な活動を行っていらっしゃるようですね。

 

はい、新潟大学病院では定期的に糖尿病教室を行っています。

予約なしで受講可能ですので、大学病院のホームページをご覧下さい。

 

また11月の糖尿病月間には、「糖尿病を知る集い」のイベントや、Hba1c 測定会を行いました。

他には月1回の糖尿病ミニ講座を行っています。

 

 

Q, この機会に足を運んでいただきたいですね。

  それではリスナーに向けてメッセージをお願いします。

 

肥満はあるけれどまだ大丈夫と思っている方、病院に行こうか迷っている方、

是非一度検診を受けるか、お近くの内科を受診してください。

改善したいという気持ちがあれば、生活習慣は変えられます。