心の健康も身体と同じ、早期発見、早期対応が大切!

 

10月10日はメンタルヘルスデーということで、

2回に渡って心の健康についてご紹介します。

1回目は「うつ病」について、

新潟県福祉保健部 障害福祉課いのちとこころの支援室 三沢絢香さんにお話を伺います。

 

 

Q,この番組は「健康寿命の延伸」がテーマですので、冒頭にご質問させてください。

  「うつ病」と健康寿命の関係について教えてください。

 

はい。一般的に「健康」と言うと身体の方がイメージしやすいと思いますが、

いきいきと健康に暮らす、というためには「心の健康」はとても重要なものだと思っています。

 

 

Q,なるほど。「心の健康」ですね。

  本日のテーマ、「うつ病」とはどのような病気なのでしょうか?

 

 

うつ病は日本では約15人に1人がなると言われている珍しくない病気です。

いつ誰がなってもおかしくありません。

憂鬱な気分ですとか、気持ちが重いと言った抑うつ状態と言われる状態がほぼ一日中あり、

それが長く続くというのがうつ病の代表的な症状と言われています。

この他にも、食欲不振や、頭痛、めまい、耳鳴り、肩こり、しびれ、息苦しさ、頻尿など

様々な身体症状を伴うことが多いです。

 

 

Q,気分が落ち込むだけではなくて身体にも 直接的な影響が色々と出てくるということなのですね。

  様々あるのかもしれませんが、主に何が原因なのでしょうか?

 

うつ病に限らず、ほとんどの精神疾患の原因というのは、実ははっきりとは分かっていません。

脳内の神経と神経の間で、情報を伝える化学物質が減っていたり、

神経の状態に変化が起きていたり、ということは分かっていますが、

それが原因で病気が起きているのか、そういう病気が原因でそうした変化が生じているのかというのは分かっていないのです。

 

精神的なショックや過労がきっかけでうつ病を引き起こしたという話はよく聞きますが、

原因は一つではないということが多くの研究で分かってきました。

例えば家族や大切な友人を失ってしまう、仕事の失敗、家庭内のトラブルなど

ストレスの元になる大きな出来事があったとしても、

それ以前にいくつかの要因が重なっていることが珍しくありません。

 

生きていく中で、様々な複雑に結びついた要因が原因で発症してしまうと言えると思います。

特に大きな出来事を短期間に続けて体験した場合には、自分で気づかないほど、

ストレスが溜まっていることがよくあります。

 

 

Q,誰しも何かしら悩みを抱えている状態というのは多いと思います

  では、うつ病を予防するにはどんなことが大事なんでしょうか?

 

ストレスが高まってきたり、溜まってきたりすると、

身体面、心理面、感情面あるいは行動面など、様々な変化が表れてきます。

 

〇 身体面

疲れが取れなかったり、首や肩が凝ったり、また胃腸の調子が悪くなったり。

あとは眠れなくなる、という方もいますね。

 

〇 心理面

気分が晴れなかったり、イライラしたり、落ち着きがなくなったり。

何でも悲観的な風に考えてしまうなど、いつもと違う状態が出てくることがあります。

 

〇 行動面

ひきこもりがちになる、食生活が乱れる、喫煙や飲酒の量が増える、

身だしなみになかなか気が回らなくなってくるといった変化が起こってきます。

 

こういうサインを、早期に察知して必要に応じて軽減を図るというのが

うつ病の予防の面でとても重要になります。

 

 

Q,兆候に早めに気付くのが肝要なのですね。

 

はい。もし、うつ病になってしまった際の治療方法としては

①休養 ②薬物療法 ③精神療法、という大きな三つの三本柱があります。

 

心の病気の治療と言いますと、特別なものと考えがちですが、

この三本柱というのは身体の病気と基本的には同じことだと思っています。

 

例えば、骨折をイメージしてください。

骨が折れてしまった時にギブスで固定して、怪我したところをいたわる、使わないようにする、

これが①休養 にあたります。

 

でも、すごく腫れて痛かったりすると、休養がしっかりとれなくなってしまう。

その際には鎮痛剤などを打って、痛みをやわらげて、休みやすくしますよね。

これが②薬物療法にあたります。

 

そして、また骨が折れないように日頃から再発予防を考えて、

カルシウムを摂ったり、生活習慣を改めていく。

③ 精神療法やカウンセリングにあたります。

 

 

Q,なるほど。非常に理解しやすい例えですね。

  まさに身体と治療法の基本は変わらない、ということですね。

 

 

ただし、症状の現れ方や、病気の重症度や症状は様々なので

治療の方法や対応は変わってきますので、詳しくは専門医にご相談ください。

 

 

Q,自分自身でなく、家族や友人など周りの人がうつ病になりそう、

  という時はどうすれば良いでしょうか?

 

 

先ほどお話ししたストレスによる変化というのは、ご自身で自覚しやすいものと、

周囲の方が気づきやすいものというのがあります。

家族ですとか職場の仲間や友人などから見て、最近少し様子がおかしいなと感じた時には、

疲れているように見えるよ、何か悩みがあるなら話を聞くよ、と言ったように声をかけてみて下さい。

 

 

Q,近くの人が気づいたら、声をかけてあげるということが大切なのですね。

  最後に、健康寿命の延伸「うつ病の対策」についてメッセージをお願いします。

 

心の健康は体の健康と同様に、早期発見早期対応がとても大切です。

特にうつ病は誰でもなり得る病気、ということで、早期の対応でスムーズな治療に結びつくことをご理解いただき、

是非相談の一歩を踏み出してください。

 

 

「うつ病」は誰しもがなりうる病気ということですから、

気を遣いあって、声をかけあって、

もしなってしまっても早めに対応していくっていうのが大事なのですね。

 

 

 

◎ こんな方は是非専門家に相談してみてください。

いつもは一日寝たら元気を取り戻していたのに2日経っても3日経っても、いつまでも気分が晴れない。

特に、何をどうしてもうまくいかないような気持ちになっているのであれば、

ぜひどなたかに相談してみてください。

 

精神科のクリニックや病院の医師に相談されることをおすすめします。

もし、かかりつけの医師がいるようであればそちらに相談して、

専門医療機関を紹介していただくのもよいでしょう。

 

もしかかりつけ医がいなかったり、どこにかかればいいかわからない場合は、

最寄りの保健所や市町村保健センターの相談窓口などをご利用ください。