床屋のように、定期的に歯医者に行きましょう!
6/3に続き、歯と口の健康がテーマです。
今回は、新潟県歯科医師会理事で、燕市で歯科医師をされている、穂苅雅人先生にお話しを伺いました。
穂苅先生は6/8(土)のテレビ『なじラテ。』で、生放送中にスタジオでディレクターの虫歯を直すという離れ技をやって下さいました。(https://www.ohbsn.com/kenju-project/2019/06/024839.php)
Q.新潟県は、19年連続12歳児の虫歯が日本一番少ないという数字を誇っているということですが、どのような取り組みがこの結果につながっているのでしょうか?
様々な関係者の努力の成果だと思いますが、保育園~小学校で行っている フッソ洗口が大きく影響していると思います。
Q.一方で大人の数字が良くないともお聞きしますが。
80才で20本の自分の歯を残そうという「8020」運動というものがありますが、徐々に達成者の人数が増えており、いま全国平均では50%を超える状況になりました。しかし 新潟は37% に留まっています。
高校を卒業するまでは学校保健法があったり、歯科検診が義務付けられているため、初期の虫歯を見つけやすい環境です。しかし成人になると法律の裏付けもなくなり、歯科検診は行政次第になります。ここで歯科検診を受ける機会が急激に減ってしまいます。
Q.成人の歯と口の健康への意識を上げるために、県歯科医師さんはどのようなことを行っているのでしょうか?
新潟県では平成20年度に全国に先駆けて「歯科保健推進条例」が制定されました。
歯科検診が習慣化されるように啓発を行っています。
Q.穂苅先生のところでは、最近はどのような患者さんが多いですか?
そうですね、口臭など口の中のことを気にされる方が増えています。
その中で、口の中の健康が全身の健康に繋がるということを理解されて、定期的に検診を受けられる方も増えています。
Q.それは良い傾向ですね。歯と口の中の健康が全身の健康に繋がる、ということを詳しく教えて頂けますか?
はい。一見関係なさそうですが、口の中の歯周病菌が、心臓病、糖尿病、脳梗塞や心筋梗塞などの血管障害、肺炎など様々な疾患に影響することがあります。
妊婦さんは特に要注意です。歯周病にかかっている妊婦さんは普通の方はと比べ低体重児の出産や早産のリスクが、7倍にも及ぶとのデータも出ています。
またご年配の方も、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。食べ物や唾液が誤って肺に行ってしまったとき、歯周病を患っていると、その菌が一緒に入ってしまいます。逆に、口の中をキレイにすれば、6割近くリスクを低下させることができます。
Q.歯周病菌が全身の様々なところに影響してしまうということですね。ではどのようにして歯周病を予防すれば良いのでしょうか?
第一はやはり、正しいやり方で、しっかり歯磨きをすることです。
歯磨き粉をつけて2~3分磨くのだけではダメです。できれば歯医者で一度ブラッシングの指導をしてもらうのが良いでしょう。
細かいところまでしっかり磨かないと、そこから歯周病菌が繁殖してしまうことがあります。あとは良く噛んで食べることですね。
そのためにも、床屋さんに定期的に行くことと同じような感覚で、是非3カ月に1回、せめて半年に1回くらいのペースで歯科医に行って歯石を取ってもらいましょう。
また喫煙も歯ぐきの炎症が起きやすくなるなどのリスクがあります。
Q.今後新潟県歯科医師会としては、どのようなことを啓発していきたいですか?
はい、新潟県歯科医師会としては歯科検診の充実を図っていきたいと思っています。
成人歯科検診は市町村の任意で実施されています。節目の年齢の時に行う特定検診に、歯科検診も入れて頂けるように働き掛けていきます。県全体で7.8%の受診率を上げていけるよう活動を続けていきたいと思います。
Q.最後にリスナーにメッセージをお願いします。
これからは“歯が痛くなってから歯医者に行く”のではなく、口の中への意識を高めて、気軽に歯医者を利用するようにして頂ければと思います。
技術・道具も進歩しており、時間が掛かったり、痛かったりすることは、昔と比べてほとんどありません。
健康寿命の延伸のために、是非定期的な歯科検診を!