新潟県内でがんと診断される件数は年間およそ2万3000件。最も多いのが男性は胃がん、女性は乳がんで、それぞれ全体の2割ほどを占めます。

 一方で、がん検診の受診率は胃がんが55%、乳がんが51.4%などと、県民のおよそ2人に1人が早期発見の機会を逃しているという状況です。

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今回は、乳がん検診と脳腫瘍治療の最前線について注目してみます。

 

 

【記者】

「乳がん検診に行ったことありますか?」

 

【30代女性】

「行ったことないです。健康だし、違和感もないし、大丈夫かなと思って。でも周りからは『やっぱり受けた方がいいんじゃないか』って」

 

【40代女性】

「30代・40代・50代ぐらいがなるというイメージです。子どもが生まれたから受けたいなとは思いました」

 

 

 

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乳がんは30代から40代にかけて、り患する人が増えるのが特徴とされています。みなさん、検診を「受けたい」とは思っているようですが…。

 

【30代女性】

「痛そうなイメージ」

 

【30代女性】

「結構、強めに胸がプレスされるじゃないですか。初めて受けたんですけれど、その時の痛みが残って記憶にある。あれをまたやるのもな、というのが正直あって…」

 

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多く聞かれた声は、乳がん検診=痛いというイメージでした。一般的な乳がん検診は「マンモグラフィ」と呼ばれる方法で、乳房を板で圧迫し、薄く伸ばしてX線撮影をします。乳房全体が均一に広がるためがんを見つけやすい一方で、痛みを伴う場合もあることから敬遠する人は少なくありません。

 

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こうした中、新しい乳がん検診が新潟県五泉市の五泉中央病院で始まっています。今年2月に導入した、乳がん検診専用の無痛MRI「ドゥイブス・サーチ」です。がんの広がりなどを検査するMRIを改良したもので、新潟県内でこの検診を行っているのは五泉中央病院だけです。

 

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検査着を着たまま受けられるのが特徴で、機械に2つ開いている空洞に乳房を入れてうつ伏せになります。

 

【五泉中央病院放射線技師 塚田友恵さん】

「撮影に入ります。大きい音がしますけれど頑張ってください」

 

ヘッドホンで音楽を聞きながら、およそ15分間の検査を受けます。磁気と電波を使用するMRI検査なので、被ばくの心配は一切ありません。

 

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そして15分後…

 

【記者リポート】

「終わりました。うつぶせのまま楽に寝たような形だったので、胸のあたりが強く圧迫されるようなこともなく、最後の方は寝ていたようなくらいにリラックスしていたと思います」

 

今回の無痛MRI乳がん検診と、これまでのマンモグラフィと、2つの方法で撮影した乳房画像の一例を見せていただきました。

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【五泉中央病院放射線科 小林誠司科長】

「マンモグラフィーだと、乳腺が映る真っ白な中にがんが白く写るので、白い中の白、雪山の中でウサギを探すような感じなんですけれど、無痛MRIでは、がんだけが黒く写る」

 

日本人に多い高濃度乳腺の人でも、がんが見つけやすいということです。

 

この検査方法を開発したのは、東海大学工学部医工学科の高原太郎教授。多くの女性が胸に違和感を感じたとしても、なかなか検診につながらない現状に、もどかしさを感じていたそうです。

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【東海大学工学部医工学科 高原太郎教授】

「乳腺外科に行って『痛い検査されるのが嫌だから』と躊躇(ちゅうちょ)する。それが3か月くらいになると、明らかに腫瘍が増大してしまったりするんです。痛くない、見られない、があるならとにかく行ってみようという、ハードルを下げることがこの検診の一番重要な社会的役目だと思っています」

 

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マンモグラフィ検査には行政からの費用補助があり、無痛MRI検査にはまだありませんが、高原教授は「そうした補助制度も活用しつつ、1年に1度は検診を受けてほしい」とメッセージを送ってくれました。

 

 

 

【東海大学工学部医工学科 高原太郎教授】

「重要なのは、受けないことで2倍のリスクになることです。そういうことを避けるために必ず受けてください。見られたくない、痛いからできないという人には、無痛MRI乳がん検診をお受けになっていただければ」

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新しい検診方法という受け皿で、一人でも多くの命が救われることが期待されます。

 

新潟県内の治療の現場でも、患者の身体に負担が少ない最新医療が行われています。

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新潟市西区にある新潟脳外科病院は、県内唯一の放射線治療の方法を2019年にスタートさせました。

 

【新潟脳外科病院放射線治療科 丸山克也部長】

「サイバーナイフの機械です。ナイフという名前がついていますけれど、実際に切るわけではなく、外科の手術と同じように、切ったような放射線治療ができる」

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サイバーナイフは、治療したい場所にピンポイントで放射線を照射することができ、外科での手術が難しい転移性の脳腫瘍の治療などで主に使われています。

今回、デモンストレーションとして放射線を出さずにサイバーナイフを体験させてもらいました。

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ベッドに寝た状態で、2つのX線機器を使って腫瘍のある位置を特定します。すると、大きなアームがプログラミング通りに自由自在に動き出します。

 

【新潟脳外科病院放射線治療科 丸山克也部長】

「1回の治療で、大体30か所から40か所ぐらいの場所から放射線を順番に当てていく」

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【記者リポート】

「今、目をつぶっているので完全には分かりませんが、音を聞くだけでもかなりスムーズにさまざまな方向から当てているイメージですね」

 

1回の治療時間は20~30分。麻酔もなく、入院期間は1泊2日から2週間程度です。

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肺がんが脳に転移してしまい、実際にサイバーナイフで治療を受けた70代の女性にも話を聞くことができました。

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【新潟脳外科病院放射線治療科 丸山克也部長】

「腫瘍のある1.5センチほどの範囲ですね。ここをめがけてピンポイントで治療を行っています。半年後にMRIで同じ場所を見てみますと、もともと転移があった場所は少し黒く点で見えていますけれど、腫瘍としてはほとんど見えない状態」

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【新潟県新発田市在住 70代女性】

「ステージ4で難しいと言われて、手術もできないと言われたときは本当に絶望的で…。いい先生に巡り合い、いい機械に巡り合って、大変幸せだと思っています」

 

サイバーナイフのもう一つの特徴が、放射線治療による副作用を減らせることです。これまで脳腫瘍の治療では、全脳照射といって脳全体に放射線を当てるのが一般的でした。

 

【新潟脳外科病院放射線治療科 丸山克也部長】

「ピンポイントで腫瘍のところにたくさんかけても、周りの正常な細胞にはあまり当てないということができるようになりましたので、患者さんにとって非常に安全な治療ができるようになったかなと思う」

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脱毛や吐き気が最小限に抑えられる特徴を、実際にサイバーナイフで女性も実感したそうです。

 

【新潟県新発田市在住 70代女性】

「5円玉くらいの円形の脱毛が3か所、4か所出るだけで、主だった見た目では分かりませんでした。普通の日常生活と全く変わりなく…」

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原則的にサイバーナイフの治療費は保険適用で、新潟脳外科病院では脳腫瘍以外の部位の治療にも順次拡大しているということです。

 

【新潟脳外科病院放射線治療科 丸山克也部長】

「サイバーナイフであれば、従来、治療が難しかった複雑な形の腫瘍や、腫瘍が複数ある場合、こういった治療でも可能になってきていますので、我々もどんどん新しい治療に挑戦していければと思っています」

 

技術の進歩で身体への負担が少ない医療が確立されています。みなさんも、まずは検診を受けて、自分の“からだ”と向き合ってみませんか?