雪梁舎美術館は平成5 年3 月に財団法人美術育成財団 雪梁舎を発足し、
平成6 年8 月開館いたしました。本年は、財団設立30 周年を迎えます。
これを記念して、ふるさと新潟が誇る金工作家「宮田藍堂の系譜」をたど
る展覧会を開催いたします。
初代・宮田藍堂は、本間琢齋のもとで蠟型鋳造の技術を身につけたのち
上京し、東京美術学校に奉職、楠公銅像制作などにたずさわりました。帰
郷後も蠟型鋳金の芸術性を高め、佐渡に宮田家ありという芸術集団を作り
上げていきました。その門下には、後に重要無形文化財保持者として認定
(昭和35 年)された佐々木象堂をはじめ多くの逸材がいます。象堂は長ら
く中央工芸界で活躍し、帝展、文展審査員を歴任し、伝統的な鋳金技術に
近代的な造形の手法をマッチさせた品名を数多く残しました。
また二代・藍堂は象堂に師事し、蠟型鋳銅の制作に打ち込み、帝展・文展・
日展等の他、チリ・シカゴの日本工芸展・日ソ展等にも出品し、数度受賞
しました。その作風は初代の追従を避け、日本古代の造形美に現代感覚を
盛り込むことに努めました。
二代・藍堂の弟子、池田逸堂は象堂にも師事し、文展・日展・日本伝統
工芸展に数多くの入選を果たしました。
さらに二代・藍堂の長男の宏平(三代・藍堂)は、伝統の蠟型鋳金を基礎に、
その特色を生かしながら斬新で芸術性の高い造形作品を制作しました。そ
して次男の脩平は、象堂にも傾倒した人で、工業デザイナーを経たのち金
属の素材を生かしたジュエリーなどをデザインしました。三男の亮平は、
東京藝術大学学長、文化庁長官を歴任、イルカをモティーフにした「シュ
プリンゲン」シリーズは広く知られ、親しまれています。本年3 月には、
日本芸術院会員となりました。また三代・藍堂の次男 洋平、亮平の次女
琴へと、金属工芸の系譜は脈々と受け継がれています。
金工 宮田家は、多くの芸術家を世に輩出させており、彼らが作り出した
作品は日本の工芸界に燦然と輝く光彩を放っています。雪梁舎美術館で所
蔵する作品のほかに、他館からも作品をお借りし、壮大な金工芸術の世界
を一堂に展観いたします。
5月21日(日)
②親子でつくる鍛金キーホルダー制作 宮田琴先生
6月10日(土)
*ワークショップは事前の申し込みが必要です。詳しくは、お問い合わせください。