映画監督になるきっかけに、何か相当おもしろい映画に
出会ったとか、思い当たる作品はありますか?
それまで饒舌だった井筒監督が、しばし黙り込んだ。
「ん~」とおもむろに口を開いたと思うと
その後は、怒涛のごとく、その映画への想いと
その時のシチュエーションを語り始めました。
三国連太郎、西村晃出演の「陸軍残虐物語」
小学校5年生か6年生だった井筒少年が
大阪でお父様と待ち合わせをして観た映画。
それはそれは、タイトル通り残虐で、とても小学生が
観るような映画ではなかった。
でも、隣にいるお父様は、井筒少年の呼びかけにも
気が付かないほど、のめりこんでいた。
その残酷さと、恐怖と、理不尽な内容は
まさにスーパーリアルなものだったと語る。
あるシーンでは、ひどい悪臭が、スクリーンを通して
匂ってきたと。
匂いが伝わるくらいのリアルさ。
それが、フィルム映画の凄みでもあると。
それが、井筒監督がフィルムにこだわる所以にも
繋がっているとのことでした。
朱鷺メッセ開館10周年、新潟日報メディアシップ開業記念
「井筒和幸監督 トークショー」
良すぎるお天気にもかかわらず約1000名のご来場者。
井筒監督のお話に、聞き入る真剣な姿は
ステージ上から見ていても圧巻でした。
強面で癖のありそうな、かっこ良い男。
井筒監督は、想像以上にシャイで熱い方でした。
匂ってくるような映画…
匂いまで伝わるようなラジオ。
伝えるって、難しいけど、おもしろい。