松井治二さん(長岡市山古志・闘牛勢子)
山古志に古くから伝わる「牛の角つき」は
二頭の牛が向き合い力の限り戦う闘牛。
古くは滝沢馬琴の南総里見八犬伝にも記述された
1000年の伝統を誇る民族行事で
力強く牛がぶつかりあう様子は、勇壮無比の一大奇観 です。
その牛を操る勢子の第一人者が松井治ニさん。
息子の富栄さんに技を伝えつつ 伝統を守り続けて来ました。
「成ろうと思って勢子になったんじゃあないからね。
自然にさ、産まれたときから牛と一緒で育って・・
自然に3代150年、続いたんかね。」
国の特別無形文化財にも指定されたこの「牛の角つき」も
中越地震による集落崩壊の危機に
あわや絶えかけそうにもなりました。
しかし松井さんたちは
自分たちの仮説住宅よりも仮説の牛小屋を・・と、
山古志のすべての牛を救うため奔走
今年、ふるさと山古志での角つきを復活させたのでした。
「この、角つきが・・地震のとき、そのあとも
自分たちを支えてくれたんかも知れないねえ。
そして、今、前のように=角つき=が出来る。
あたりまえの事があたりまえに出来る。
こんなに幸せなことはないですよ。」
楽しげにまた感慨深く語る松井さん・・
復興の槌音高い山古志で、
勢子の後を継ぐ息子さんとともに
伝統を静かに守り続けます。
「これから?・・また牛といっしょにうちへ戻って・・山へ戻って・・
山ん中で一緒に暮らしながら・・
応援してくれたひとたちをこの角つきで元気づけてやりたいねえ。
ここまで1000年なくならないで続いてきたんだ。
皆の気持ちがそうさせたんだね・・・
だから、この先も1000年続くだろうと・・思いますよ。」
角つきの勢子の極意は、あくまで自然のうちに、
力を抜かず、その瞬間を精一杯牛とともに戦うこと。
どんな苦難にもけしてくじけなかった
山古志の人々の姿を彷彿させる躍動感そのままに・・。
むせ返るほどの夏の緑につつまれた山古志に
牛の角つきに興じる人たちの歓声が響きわたります。




